greek
ギリシャ神話

†オリュンポス神々の伝説†
・・・オリュンポス神・・・

オリュンポスの神々は、普段オリュンポスの山頂で饗宴の日々を送っている。 神の体内はイーコールと言われる神血が流れ、アンブロシアという食べ物を食しネクタルという葡萄酒のようなものを飲んでいた。
オリュンポス神は錚々(そうそう)たるメンバーなのだが、元々は土着民族の宗教やエーゲ海文明・オリエント系・トラキアあたりの文明がごちゃまぜになって 北ギリシャで確立されたものである。
さて、そのオリュンポスの神々の中でも最も中枢核である12神が存在した。まあ言ってみれば内閣みたいなものである。もちろんいろいろ派閥もある。 とは言え、最終決議はゼウスの鶴の一声で決まってしまうことも多いためワンマン国家であるのに代わりはないだろう。
ゼウス全知全能の神ヘラ愛・結婚の女神アテナ戦い・知恵の女神
アルテミス月・刈の女神アフロディテ美・愛の女神ヘスティアかまどの女神
アポロン太陽神ヘルメス伝令神アレス戦争の神
ヘパイストス火・鍛冶の神デメテル農業の女神ポセイドン海の神
ヘスティアの代わりに「酒の神」ディオニソスが含まれることがあるが、 ディオニソスは異国から融合した比較的新しい神であるにかかわらず重要な役割を持っていたので 「ヘスティアが12神を降りて彼に代わってあげた」という都合のよい逸話がついてきたのだろう。
「黄泉の国」ハデスはオリュンポスに住んでいないので12神には含まれない。 とはいえ、デメテルの代わりにハデスが入ることもある。彼女がふさぎこんでいる時季のピンチヒッターだろうか?
次に神様1人ずつくわしく述べていきましょう。

**************************

ゼウス ヘラ アテナ アルテミス アフロディテ
ヘスティア アポロン ヘルメス アレス ヘパイストス
デメテル ポセイドン ディオニソス ハデス ペルセポネ
エオス レト エロス パン エリス

**************************

ゼウス 「天上神」 聖獣=鷲 聖木=樫の木 聖地=ドドナとか

巨人族を滅ぼしたあと、オリュンポス3兄弟(ゼウスハデスポセイドン)で くじをひき「天」が当たったラッキーボーイな末っ子。ギリシャ神話内で1番トップの座にいる彼だが、あまり大したことはしていない。こともないか。
雷を操り、民衆が最も尊敬する神である。今でこそ雷の正体はわかるものの、当時はあんなに神がかった恐ろしい物はなかったでしょう。
無類の女好きでしょっちゅう浮気をしては本妻のヘラに見つかる。 なんてことをよく言われるが、事実は全ギリシアの王侯貴族らが競ってゼウスとの血統を望んだがために 「我が息子はゼウスの子なり!」なんて宣言するもんだから子だくさんになってしまった実はかわいそうな人、いや神だったりする。
またゼウスの愛を受けたと言い放つ人間女性も数多くいた。勿論いかがわしいのがほとんどだが、 治安の悪い神殿で強姦された女性が「これは神との交わりよ。」と脳内変換したがるのも仕方のないことでしょう。
中にはゼウスとの子供で英雄と認められた子供も数人いる。
また彼の聖地ドドナには大きな王樫の木があり、なぜ聖木が樫の木かというと、よく雷が落ちたから・・・らしい。

彼が幼少時にクレタ島で育ったことは前章で述べたが、 元々はクレタ島ミノア系宗教の母神から引き離された少年神の物語が原作らしい。母親のレアも元はミノアの大地女神なのでつじつまは合うということだ。
またゼウスの鳴き声を消すために槍盾を打ち鳴らしたといわれるクレス達に類似したダクテュロイが存在した。 彼等の由来はまちまちで、母親はレア、あるいはキュベレ、またはイデのニンフの一人、 またはゼウスの乳母が指の間から後ろへ投げたゴミから生じたので「指」ダクテュロイという名になったといろんな説がある。 また彼らは5人兄弟、あるいは5人ずつの10人兄弟姉妹、または6人ずつの12人、50数人なんて説もある。
とにかく彼らは金工や手工業が得意で、エリス地方の伝説では彼ら5人ヘラクレスエピメデスイダスパイオナイオスイアソスゼウスのために起こした競技がオリュンピア競技の始まりだといわれている。
しかしオリュンピア競技は英雄ヘラクレスペロプスの墓の前で始めたのが最初だと言われている。 これは4年に1度開催され、クレタ地方でダクテュロイが創設したという伝説が作られたそうです。つまり起源ははっきりわかっていません。

**************************

ヘラ 「愛・結婚の女神」 聖獣=孔雀・牝牛 聖地=アルゴス・スパルテ・ミュケナイ

ゼウスの本妻ゆえにプライドが高い。夫の浮気に絶えず目を光らせ、オリュンポス最強神には罰することができないため、 代わりにいつも相手の女や子供に罰を与える。1番とばっちりを受けたのはヘラクレスであろう。
ヘラは毎年春になるとカナトスという泉で身を清める。 この泉は元の美しさを取り戻す不思議な泉で、ヘラの美しい姿を見たゼウスがへろへろと舞い戻ってくるらしい。

本妻の割にもうけた子供は「軍神」アレス「争いの女神」エリス「若き女神」ヘベ「お産の女神」エイレイテュイアとあまり大した神ではない。 いずれにせよ、彼らは元来両親と出生が違うらしい。ゼウスは北ギリシャ、ヘラはアルゴス先住民の主女神である。 よって、家族も必然的に寄せ集め神様軍団ということになる。
アレスは北方生まれ、ヘパイストスは東洋生まれ、 ヘベエイレイテュイアヘラの分身に過ぎないのだ。

そんな彼女であるが結婚・産児・主婦としてのギリシャの家庭を守る女神としてやはり偉大であった。 オリュンポス神学は彼女をクロノスの長女とし、天の神の妻として出迎えた。
異説では彼女は幼児期にオケアノステテュスに育てられたため、 愚痴をこぼしにいつもこの老夫婦の下へいくのである。幼児期は父クロノスの腹の中にいたはずだがね。
ていうか、そもそもヘラがこんな性格設定されたのはホメロスのせい。本来は家庭を守る最高の女神のはずだ。 ヘラという名前も「ヒーロー=英雄」の語源と言われているし、決して悪妻女神ではなかったはずだが・・・。

娘のエイレイテュイアにおいて、彼女はいろいろな女神の分身と言われるが一般的にはヘラの娘が通説でしょう。 彼女はお産を早めたり遅くしたりし、助手としてゲネテュリデスという女神達を従えていた。

また娘のヘベについて。単に「青春」という言葉を神格化しただけなので本格的な神話はない。ホメロスによって彼女の給仕の仕事が 与えられたようです。そして昇天したヘラクレスと結婚し、婿と姑の仲を取り戻したとか。

**************************

アテナ 「戦い・知恵の女神」 聖獣=梟 聖木=オリーブ 聖地=アテナイ

アテナは、彼女を身ごもった母親のメティスを飲み込んだゼウスの頭から完全武装して生まれた。
メティスは一般にオケアノスの娘といわれ、ゼウスの最初の妻である。 クロノスの腹の中から兄弟を助ける薬を開発した聡明な女神だが、メティスから生まれる子供は 父親以上の存在になるという自然の予言に恐れて、ゼウスは素晴らしいことを思いつく。

メティスごと飲み込んでしまえ。(゚∀゚)

親子で同じ事をしているのである。
それからゼウスは今まで以上に聡明になり、なぜか子供だけはゼウスの体内で育ってなんと頭に移動した。 あまりの激痛に耐えかねたゼウスヘパイストスに自分の頭をかち割らせた。 ヘパイストスってアテナより先に生まれていたのね。
女の子だったので父親以上にはならなかったが、守護神として市民に支持される立派な女神様になる。 またプライドが高く負けず嫌いなところもあり、今で言うキャリアウーマンである。また一生純潔の乙女を誓い、 「処女神」パラス・アテネとも言われる。そのわりに恋人とかいたり、嫉妬したりするんだよね。
織物が得意で「優雅女神」カリテスたちと女神達の聖衣を織った。灰色の目と広い額を持ち、アレスとは超仲が悪い。 他にもたくさんいる。てゆーか、仲悪いの多すぎ。
また彼女は神を冒涜するものに対して一切の慈悲を与えない。織物で競った人間の女アラクネの話が有名。 詳しくは神々の刑罰の章で。

アテナ崇拝として一番名高い都市はやはりアテナイである。 この都市はポセイドンアテナが宗主権をにぎって争った後が残っているので有名だ。 (詳しくはアッティカ君主たちの章で。)

アテナパラス・アテナと名乗るゆえんは幼馴染のパラスにあった。 パラストリトンの娘で、アテナは幼い頃彼女と共に成長した。
ある日剣の稽古をしているとき、パラスの剣がアテナを突きそうになった。 ゼウスはとっさに天からアイギスの盾を差し出した。 驚いて天を見上げるパラスの胸にアテナの剣が突き刺さって死んでしまう。 アテナは不運な事故に悲しみ、彼女の像を作ってゼウスの隣に置いた。 そしてその日からパラス・アテナと名乗ることに決めたのだ。
ちなみにこの像はパラディオンと呼ばれ、右手に槍、左手に糸巻きを持っている。そしてアテの地を訪れたイロスにこの像を与えた。 この像がなくならない限りトロイアの地は落ちないと言われていたが、乞食に扮したオデュッセウスに盗まれてしまう。
アテナはトリトン河とも関係が深く、その河の近くで生まれトリトニスという別名を持ったりする。 そこからパラスとの関係も生まれたのでしょう。

**************************

アルテミス 「月・刈の女神」 聖獣=鹿 聖木=サイプレス

アポロンの双子の妹で、森と狩を愛し純潔を愛する処女神でもある。 潔癖であるゆえに、自分を汚した相手には無慈悲なほどの刑罰を与える。
そんな彼女も1度だけ純潔を犯そうとしたことがある。相手はオリオン。 彼はエオスの愛人でオリュンポスNo1のレディキラーである。その話はオリオンの章で。

元は先住民族の地母神である。クレテ島のミノア文化で信仰されていた野山の女神が、一方で獅子を引き連れた小アジアの女神マグナ・マーテルとなり、 もう一方でギリシャの処女神アルテミスとなったと考えられる。 処女神といわれながら、出産の女神としても崇められていた。つまり元々は全てを網羅する女神だったのでしょう。
またクレテ島ではブリトマルティスという乙女が網に引っかかっていたのをアルテミスに助けてもらい、 「網のアルテミス」アルテミス・ディクテュンナの社を建てた説がある。 別説では彼女はミノス王に執拗に追いかけられ断崖から飛び降りたところ、 猟師の網に引っかかり助かったためアルテミス・ディクテュンナを祭ったとある。 ようするに各地の信仰女神がアルテミス崇拝に吸収された説話であろう。
彼女はまだまだたくさんの別名を持つ。その中の1つがヘカテである。 ヘカテは黄泉の国の恐ろしい女神として描かれるのが一般的だが、元々は勝利と名誉を導く名誉ある女神として描かれていたようだ。 「三岐路のヘカテ」とはアルテミスの称号である。この「三姿ヘカテ」ヘカテ・トリモルポスが 天のセレネ、地のアルテミス、冥界のヘカテとする女神の象徴としても考えられた。
このように彼女は潔癖な処女神でありながら、多数の性格をも所有している。

ま、早い話、あちこちの地母神の逸話や物語を「コレぜーんぶアルテミスのこと」と、まとめちゃったのであろう。

**************************

アフロディテ 「美・愛の女神」 聖獣=白鳥・鳩 聖木=薔薇とか

官能の意味が含まれたいわゆるセックスシンボルである「美・愛の女神」アフロディテは、 ホメロスいわくゼウスディオネの娘だが、 切り取られたウラノスの生殖器が海に投げ込まれ、それが泡となって彼女が生まれたというヘシオドス説もある。 これは「泡」アプロスからくる説話と考えられるようです。
アフロディテは、ゼウスにいかづちの矢を作ったヘパイストスへの 褒美品とされ嫁入りをする。一番容姿の醜い神の妻となったわけだが本人はあまり気にならないらしい。また神々の間ではあまりいい印象を受けない アレスとも関係があり、エオスとゴタゴタになったりする。 また「ケストスという”男を腰抜けにする帯”を持っている」という噂を、もてもて彼女を恨む女神達に流された。 実際は持っていないようだがヘラは信じて借りにきたりする。

アフロディテはギリシアと接触して神話に融合していくのだが、元々東方ポイニキアの女神だったようだ。 そのときは「官能の女神」ではなく、軍事的権力を持ったアテナ的な女神であったらしい。
アフロディテの崇拝は3通りに分けられる。
1つめは大地母神の性格で、和やかな春をもたらす愛と春と花の女神として祭られた。
2つめはコリントス都市などで見受けられるように、官能的な愛欲の女神である。彼女の祭儀では女奴隷が進んで信者に身を提供する慣わしがあった。 もちろん遊女もいたようだ。そもそもギリシア人は純潔・厳格をモットーとする民族だったので、東方の大らかで情熱的な崇拝は官能的に感じられたのかもしれない。
3つめは航海に縁深く、水夫達の無事を祈る女神として崇められていた。 これこそが「泡」アプロスに由来する崇拝ではないでしょうか。
アフロディテの血を引くアイネイアスが、トロイアから逃れローマの基礎を作り上げ その息子ユールスの子孫といわれるユリウス家によってアフロディテは大いにもてはやされた。

ついでに「樫の木」ディオネについて記述しておきましょう。彼女はもともとドドネの土着女神で、 ディオネの意味はゼウスの女性系と言われています。 それぐらい高い地位にいた女神なのですが、ギリシアの女神が南下してきてディオネの地位あるいは存在自体を消されてしまったようです。 無理やりティタン族の一員になっていることもあり、アフロディテの母という設定も後で付け加えられたものなのでしょう。。

次の神様たち